Thursday, 24 July 2014

Henshall Heisig Conning Kodansha index


If you follow this blog you will know that I now have the pieces required to build a cross-index of Andrew Scott Conning's The Kodansha Kanji Learner's Course and the books by Heisig, Henshall or the Kodansha Essential Kanji ( which is the same set as Henshall.)

I will probably use a script in Cambridge MA ( MIT ) Curl ( now SCSK Curl of Tokyo ) to collate the CVS files built from EDICT or KanjiDic2.

Conning is already indexed against the new Halpern 2nd Ed. of his Kanji Learner's Dictionary at the level of the individual entries, as is Halpern against the full Kodansha Kanji Dictionary. Only the new Halpern provides Unicode values for the kanji. The new Halpern KLD entries have the index for an entry in the new KLC where one exists (42 of the KLC Kanji are not in the KLD, but it has 3002 to the 2300 in the KLC.)

When time permits,I will index these books against Minna no Nihongo, the Genki books and Japanese for Busy People ( kana editions.)



Wednesday, 23 July 2014

Buson Winter Kigo Haiku with kanji and kana for WS Merwin translations


Here are the Yosa Buson winter kigo kanji numbered as in the W.S Merwin translations from Copper Canyon Press.

675, みのむしの得たりかしこし初時雨
676, 初しぐれ眉に烏帽子の雫哉
677, 楠の根を靜にぬらす時雨哉
678, 時雨るゝや蓑買ふ人のまことより
679, しぐるゝや鼠のわたる琴の上
680, 古傘の婆娑と月夜の時雨哉
681, しぐるゝや我も古人の夜に似たる
682, 夕時雨蟇ひそみ音に愁ふ哉
683, 爐に燒てけぶりを握る紅葉哉
684, 初冬や日和になりし京はづれ
685, 居眠リて我にかくれん冬ごもり
686, 冬ごもり壁をこゝろの山に倚
687, 冬ごもり燈下に書すとかゝれたり
688, 勝手まで誰が妻子ぞ冬ごもり
689, 冬ごもり佛にうときこゝろ哉
690, 嵐雪とふとん引合ふ佗寢かな
691, いばりせしふとんほしたり須磨の里
692, 故郷にひと夜は更るふとんかな
693, かしらへやかけん裾へや古衾
694, 大兵のかり寢あはれむ蒲團哉
695, 乕の尾を踏つゝ裾にふとんかな
696, あなたうと茶もだぶゝと十夜哉
697, 簔笠の衣鉢つたへて時雨哉
698, 夜興引や犬のとがむる塀の内
699, 枇杷の花鳥もすさめず日くれたり
700, 茶の花や白にも黄にもおぼつかな
701, 茶のはなや石をめぐりて路を取
702, 咲べくもおもはであるを石蕗花
703, 口切や五山衆なんどほのめきて
704, 口切や小城下ながら只ならね
705, 爐びらきや雪中庵の霰酒
706, 狐火や髑髏に雨のたまる夜に
707, 羽織着て綱もきく夜や川ちどり
708, 風雲の夜すがら月の千鳥哉
709, 磯ちどり足をぬらして遊びけり
710, 打よする浪や千鳥の横ありき
711, 水鳥や百姓ながら弓矢取
712, 里過て古江に鴛を見付たり
713, 水鳥や舟に菜を洗ふ女有
714, 加茂人の火を燧音や小夜鵆
715, 嵯峨寒しいざ先くだれ都鳥
716, 早梅や御室の里の賣屋敷
717, 宗任に水仙見せよ神無月
718, 小春凪眞帆も七合五勺かな
719, 冬の梅きのふやちりぬ石の上
720, 千葉どのゝ假家引ケたり枯尾花
721, たんぽゝのわすれ花あり路の霜
722, 小野ゝ炭匂ふ火桶のあなめ哉
723, われぬべき年もありしを古火桶
724, うづみ火や終には煮る鍋のもの
725, 炭うりに鏡見せたる女かな
726, 裙に置て心に遠き火桶かな
727, 炭團法師火桶の穴より窺ひけり
728, 巨燵出て早あしもとの野河哉
729, 腰ぬけの妻うつくしき巨燵かな
730, 沙彌律師ころりゝとふすま哉
731, 鋸の音貧しさよ夜半の冬
732, 彈山の質屋とざしぬ夜半の冬
733, むさゝびの小鳥はみ居る枯野哉
734, 大とこの糞ひりおはすかれの哉
735, 水鳥や枯木の中に駕二挺
736, 子を捨る藪さへなくて枯野哉
737, 草枯て狐の飛脚通りけり
738, 狐火の燃へつくばかり枯尾花
739, 息杖に石の火を見る枯野哉
740, 我も死して碑に邊せむ枯尾花
741, 馬の尾にいばらのかゝる枯野哉
742, 蕭條として石に日の入枯野かな
743, 痩脛や病より起ツ鶴寒し
744, 待人の足音遠き落葉哉
745, 菊は黄に雨疎かに落葉かな
746, 古寺の藤あさましき落葉哉
747, 往來待て吹田をわたる落ば哉
748, もしほ草柿のもと成落葉さへ
749, 西吹ケば東にたまる落葉かな
750, 鰒汁の宿赤ゝと燈しけり
751, ふぐ汁の我活キて居る寢覺哉
752, 秋風の呉人はしらじふぐと汁
753, 音なせそ叩くは僧よ鰒じる
754, 河豚の面世上の人を白眼ム哉
755, 缶うって鰒になき世の友とはむ
756, 袴着て鰒喰ふて居る町人よ
757, らうそくの涙氷るや夜の鶴
758, 凩に鰓吹るゝや鉤の魚
759, こがらしやひたとつまづく戻り馬
760, こがらしや畠の小石目に見ゆる
761, こがらしや何に世わたる家五軒
762, 凩やこの頃までは荻の風
763, 木枯や鐘に小石を吹あてる
764, こがらしや岩に裂行水の聲
765, 擂盆のみそみぐりや寺の霜
766, 麥蒔や百まで生る貌ばかり
767, 初雪や消ればぞ又草の露
768, 初雪の底を叩ば竹の月
769, 雪折や雪を湯に焚釜の下
770, 雪の暮鴫はもどつて居るような
771, うづみ火や我かくれ家も雪の中
772, いざ雪見容す簑と笠
773, 鍋さげて淀の小橋を雪の人
774, 雪白し加茂の氏人馬でうて
775, 雪折やよし野ゝ夢のさめる時
776, 漁家寒し酒に頭の雪を燒
777, 朝霜や室の揚屋の納豆汁
778, 入道のよゝとまいりぬ納豆汁
779, 朝霜や釼を握るつるべ繩
780, 宿かさぬ火影や雪の家つゞき
781, 霜百里舟中に我月を領す
782, 牙寒き梁の月の鼠かな
783, 山中の相雪中のぼたん哉
784, 町はづれいでや頭巾は小風呂敷
785, 引かふで耳をあはれむ頭巾哉
786, みどり子の頭巾眉深きいとをしみ
787, めし粒で紙子の破れふたぎけり
788, 此冬や帋衣着ようとおもひけり
789, 老を山へ捨し世も有に紙子哉
790, 我頭巾うき世のさまに似ずもがな
791, さゞめごと頭巾にかづく羽折哉
792, 頭巾着て聲こもりくの初瀬法師
793, 貌見せや夜着をはなるゝ妹が許
794, かほ見せや既うき世の飯時分
795, 貌見せやふとんをまくる東山
796, 新右衞門蛇足を誘ふ冬至かな
797, 書記典主故園に遊ぶ冬至哉
798, 水仙や寒き都のこゝかしこ
799, 水仙や美人かうべをいたむらし
800, 水仙や鵙の草莖花咲ぬ
801, 冬ざれや小鳥のあさる韮畠
802, 霜あれて韮を刈取翁かな
803, 葱買て枯木の中を歸りけり
804, ひともじの北へ枯臥古葉哉
805, 易水にねぶか流るゝ寒かな
806, 皿を踏鼠の音のさむさ哉
807, 靜なるかしの木はらや冬の月
808, 冬こだち月に隣をわすれたり
809, 二村に質屋一軒冬こだち
810, このむらの人は猿也冬木だち
811, 鴛に美を盡してや冬木立
812, 斧入て香におどろくや冬こだち
813, 鳴らし來て我夜あはれめ鉢叩
814, 一瓢のいんで寢よやれ鉢たゝき
815, 木のはしの坊主のはしやはちたゝき
816, ゆふがほのそれは髑髏歟鉢敲
817, 花に表太雪に君あり鉢叩
818, 西念はもう寢た里をはち敲
819, 御火焚や霜うつくしき京の町
820, 御火たきや犬も中ゝそゞろ貌
821, 足袋はいて寢る夜ものうき夢見哉
822, 宿かせと刀投出す雪吹哉
823, 寺寒く樒はみこぼす鼠かな
824, 杜父魚のえものすくなき翁哉
825, 愚に耐よと窓を暗す雪の竹
826, かんこ鳥は賢にして賤し寒苦鳥
827, 我のみの柴折くべるそば湯哉
828, 紙ぶすま折目正しくあはれ也
829, 氷る燈の油うかゞふ鼠かな
830, 炭取のひさご火桶に並び居る
831, 我を厭ふ隣家寒夜に鍋を鳴ラす
832, 齒豁に筆の氷を噛ム夜哉
833, 一しきり矢種の盡るあられ哉
834, 玉霰漂母が鍋をみだれうつ
835, 古池に草履沈ミてみぞれ哉
836, 山水の減るほど減りて氷かな
837, 乾鮭や琴に斧うつひゞきあり
838, から鮭に腰する市の翁かな
839, からざけや帶刀殿の臺所
840, 詫禪師乾鮭に白頭の吟を彫
841, 寒梅や火の迸る鐵より
842, 寒梅を手折響や老が肘
843, 寒月や門なき寺の天高し
844, 寒月や鋸岩のあからさま
845, 寒月や枯木の中の竹三竿
846, 寒月や衆徒の群議の過て後
847, 寒聲や古うた諷ふ誰が子ぞ
848, 細道になり行聲や寒念佛
849, 極樂の近道いくつ寒念佛
850, 寒垢離や上の町まで來たりけり
851, 寒ごりやいざまいりそふ一手桶
852, 鯨賣市に刀を皷しけり
853, しづゝと五徳居えけり藥喰
854, 藥喰隣の亭主箸持參
855, くすり喰人に語るな鹿ケ谷
856, 妻や子の寢貌も見へつ藥喰
857, 客僧の狸寢入やくすり喰
858, 靈運もこよひはゆるせとし忘
859, にしき木の立聞もなき雜魚寢哉
860, おとろひや小枝も捨ぬとし木樵
861, うぐひすの啼や師走の羅生門
862, 御經に似てゆかしさよ古暦
863, としひとつ積るや雪の小町寺
864, ゆく年の瀬田を廻るや金飛脚
865, とし守夜老はたうとく見られたり
866, 石公へ五百目もどすとしのくれ
867, とし守や乾鮭の太刀鱈の棒
868, 芭蕉去てそのゝちいまだ年くれず



Tuesday, 22 July 2014

Buson autumn kanji for Merwin index


Here are the Autumn kanji indexed as in the W.S. Merwin translations from Copper Canyon Press :

458, 秋來ぬと合點させたる嚔かな
459, 秋たつや何におどろく陰陽師
460, 貧乏に追つかれけりけさの秋
461, 秋立や素湯香しき施藥院
462, 初秋や餘所の灯見ゆる宵のほど
463, とうろうを三たびかゝげぬ露ながら
464, 高燈籠滅なんとするあまたゝび
465, 梶の葉を朗詠集のしほり哉
466, 戀さまゝ願の糸も白きより
467, つと入やしる人に逢ふ拍子ぬけ
468, あぢきなや蚊屋の裙蹈魂祭
469, 魂棚をほどけばもとの座敷哉
470, 大文字やあふみの空もたゞならね
471, 相阿彌の宵寢起すや大文字
472, 攝待にきせるわすれて西へ行
473, 英一蝶が畫に贊望れて
474, 四五人に月落かゝるおどり哉
475, ひたと犬の啼町越へて躍かな
476, 萍のさそひ合せておどり哉
477, いな妻や八丈かけてきくた摺
478, いな妻の一網うつやいせのうみ
479, いなづまや堅田泊リの宵の空
480, 日ごろ中よくて耻あるすまひ哉
481, 飛入の力者あやしき角力かな
482, 夕露や伏見の角力ちりゝに
483, 負まじき角力を寢ものがたり哉
484, 柳散清水涸石處々
485, 小狐の何にむせけむ小萩はら
486, 薄見つ萩やなからむ此ほとり
487, 山は暮て野は黄昏の薄哉
488, 女郎花そも莖ながら花ながら
489, 里人はさともおもはじをみなへし
490, 秋ふたつうきをますほの薄哉
491, 茨老すゝき痩萩おぼつかな
492, 猪の露折かけてをみなへし
493, 白萩を春わかちとるちぎり哉
494, 垣ね潜る薄ひともと眞蘇枋なる
495, きちかうも見ゆる花屋が持佛堂
496, 朝がほや一輪深き淵のいろ
497, 朝貌や手拭のはしの藍をかこつ
498, 夜の蘭香にかくれてや花白し
499, 蘭夕狐のくれし奇楠を炷かむ
500, 花すゝきひと夜はなびけ武藏坊
501, しら露やさつ男の胸毛ぬるゝほど
502, ものゝふの露はらひ行弰かな
503, 立去ル事一里眉毛に秋の峰寒し
504, 白露や茨の刺にひとつづゝ
505, 狩倉の露におもたきうつぼ哉
506, 市人の物うちかたる露の中
507, 身にしむや横川のきぬをすます時
508, 身にしむや亡妻の櫛を閨に踏
509, 朝露やまだ霜しらぬ髪の落
510, 葛の葉のうらみ貌なる細雨哉
511, 朝貌にうすきゆかりの木槿哉
512, 朝霧や村千軒の市の音
513, 朝霧や杭打音丁々たり
514, もの焚て花火に遠きかゝり舟
515, 花火せよ淀の御茶屋の夕月夜
516, 八朔や扨明日よりは二日月
517, 初汐に追れてのぼる小魚哉
518, 水一筋月よりうつす桂河
519, 虫賣のかごとがましき朝寢哉
520, むし啼や河内通ひの小でうちん
521, みのむしや秋ひだるしと鳴なめり
522, 蠧て下葉ゆかしきたばこ哉
523, 小百姓鶉を取老となりにけり
524, 鬼灯や清原の女が生寫し
525, 日は斜關屋の鎗にとんぼかな
526, 中ゝにひとりあればぞ月を友
527, 名月にゑのころ捨る下部哉
528, 身の闇の頭巾も通る月見かな
529, 月天心貧しき町を通りけり
530, 月今宵松にかへたるやどり哉
531, 名月や雨を溜たる池のうへ
532, 名月やうさぎのわたる諏訪の海
533, 旅人よ笠嶋かたれ雨の月
534, 月今宵あるじの翁舞出よ
535, 仲丸の魂祭せむけふの月
536, 名月や夜は人住ぬ峰の茶屋
537, 山の端や海を離るゝ月も今
538, 庵の月主をとへば芋掘に
539, かつまたの池は闇也けふの月
540, 月見ればなみだに碎く千々の玉
541, 花守は野守に劣るけふの月
542, 名月や神泉苑の魚躍る
543, 一行の鴈や端山に月を印す
544, 紀の路にも下りず夜を行鴈ひとつ
545, 雨の鹿戀に朽ぬは角ばかり
546, 鹿寒し角も身に添ふ枯本哉
547, 鹿啼てはゝその木末あれにけり
548, 菜畠の霜夜は早し鹿の聲
549, 三度啼て聞へずなりぬ鹿の聲
550, 鹿ながら山影門に入日哉
551, 鹿の聲小坊主に角なかりけり
552, 折あしく門こそ叩け鹿の聲
553, 去年より又さびしひぞ秋の暮
554, 父母のことのみおもふ秋のくれ
555, あちらむきに鴫も立たり秋の暮
556, 我がてに我をまねくや秋の暮
557, 門を出れば我も行人秋のくれ
558, 弓取に哥とはれけり秋の暮
559, 淋し身に杖わすれたり秋の暮
560, 木曾路行ていざとしよらん秋ひとり
561, かなしさや釣の糸吹あきの風
562, 秋の風書むしばまず成にけり
563, 金屏の羅は誰カあきのかぜ
564, 秋風や干魚かけたる濱庇
565, 去來去移竹移りぬいく秋ぞ
566, 順禮の目鼻書ゆくふくべ哉
567, 腹の中へ齒はぬけけらし種ふくべ
568, あだ花にかゝる耻なし種ふくべ
569, 人の世に尻を居へたるふくべ哉
570, 我足にかうべぬかるゝ案山子哉
571, 御所柿にたのまれ貌のかゞし哉
572, 姓名は何子か號は案山子哉
573, 三輪の田に頭巾着て居るかゞしかな
574, 山陰や誰呼子鳥引板の音
575, 秋かぜのうごかして行案山子哉
576, 水落て細脛高きかゞし哉
577, 故郷や酒はあしくとそばの花
578, 宮城野ゝ萩更科の蕎麥にいづれ
579, 道のべや手よりこぼれて蕎麥花
580, 落る日のくゝりて染る蕎麥の莖
581, 黒谷の隣はしろしそばのはな
582, なつかしきしをにがもとの野菊哉
583, 綿つみやたばこの花を見て休む
584, 三徑の十歩に盡て蓼の花
585, 甲斐がねや穗蓼の上を鹽車
586, 沙魚釣の小舟漕なる窓の前
587, 百日の鯉切尽て鱸かな
588, 釣上し鱸の巨口玉や吐
589, 水かれゝ蓼歟あらぬ歟蕎麥歟否歟
590, 小鳥來る音うれしさよ板びさし
591, 此森もとかく過けり鵙おとし
592, 山雀や榧の老木に寢にもどる
593, たつ鴫に眠る鴫ありふた法師
594, 鴫立て秋天ひきゝながめ哉
595, わたり鳥こゝをせにせん寺林
596, わたり鳥雲の機手のにしき哉
597, 瀬田降て志賀の夕日や江鮭
598, 駒迎ことにゆゝしや額白
599, 秋の暮辻の地藏に油さす
600, 秋の燈やゆかしき奈良の道具市
601, 追剥を弟子に剃けり秋の旅
602, 秋雨や水底の草を蹈わたる
603, おのが身の闇より吼て夜半の秋
604, 甲賀衆のしのびの賭や夜半の秋
605, 枕上秋の夜を守る刀かな
606, 身の秋や今宵をしのぶ翌もあり
607, 小路行ばちかく聞ゆるきぬた哉
608, うき人に手をうたれたる砧かな
609, 遠近をちこちとうつきぬた哉
610, うき我に砧うて今は又止ミね
611, 石を打狐守夜のきぬた哉
612, 鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分哉
613, 門前の老婆子薪貪る野分かな
614, 梺なる我蕎麥存す野分哉
615, 市人のよべ問かはすのはきかな
616, 客僧の二階下り來る野分哉
617, 秋寒し藤太が鏑ひゞく時
618, 角文字のいざ月もよし牛祭
619, うら枯やからきめ見つる漆の樹
620, 物書に葉うらにめづる芭蕉哉
621, 稻かけて風もひかさじ老の松
622, 水かれて池のひづみや後の月
623, 山茶花の木間見せけり後の月
624, 泊る氣でひとり來ませり十三夜
625, 十月の今宵はしぐれ後の月
626, 唐人よ此花過てのちの月
627, 日でりどし伏水の小菊もらひけり
628, きくの露受て硯のいのち哉
629, いでさらば投壺まいらせん菊の花
630, 白菊や呉山の雪を笠の下
631, 手燭して色失へる黄菊哉
632, 村百戸菊なき門も見へぬ哉
633, あさましき桃の落葉よ菊畠
634, 菊作り汝は菊の奴かな
635, 西行の夜具も出て有紅葉哉
636, ひつぢ田に紅葉ちりかゝる夕日かな
637, 谷水の盡てこがるゝもみぢ哉
638, よらで過る藤澤寺のもみぢ哉
639, むら紅葉會津商人なつかしき
640, 笛の音に波もより來る須磨の秋
641, 雨乞の小町が果やをとし水
642, 村ゝの寢ごゝろ更ぬ落し水
643, 毛見の衆の舟さし下せ最上川
644, 新米の坂田は早しもがみ河
645, 落穗拾ひ日あたる方へあゆみ行
646, 猿どのゝ夜寒訪ゆく兎かな
647, 壁隣ものごとつかす夜さむ哉
648, 缺ゝて月もなくなる夜寒哉
649, 起て居てもう寢たといふ夜寒哉
650, 夜を寒み小冠者臥たり北枕
651, 長き夜や通夜の連哥のこぼれ月
652, 山鳥の枝踏かゆる夜長哉
653, 子鼠のちゝよと啼や夜半の秋
654, 秋風や酒肆に詩うたふ漁者樵者
655, 秋はものゝそばの不作もなつかしき
656, 丸盆の椎にむかしの音聞む
657, 椎拾ふ横河の兒のいとま哉
658, 餉にからき涙やとうがらし
659, 俵して藏め蓄へぬ番椒
660, 折くるゝ心こぼさじ梅もどき
661, 梅もどき折や念珠をかけながら
662, にしき木を立ぬ垣根や番椒
663, 稚子の寺なつかしむいてう哉
664, 茸狩や頭を擧れば峰の月
665, 茯苓は伏かくれ松露はあらはれぬ
666, うれしさの箕にあまりたるむかご哉
667, 鬼貫や新酒の中の貧に處ム
668, 栗備ふ惠心の作の彌陀佛
669, にしき木は吹たふされて鶏頭花
670, くれの秋有職の人は宿に在す
671, いさゝかなをいめ乞れぬ暮の秋
672, 行秋やよき衣きたる掛リ人
673, 跡かくす師の行方や暮の秋
674, 冬ちかし時雨の雲もこゝよりぞ