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Wednesday 23 July 2014

Buson Winter Kigo Haiku with kanji and kana for WS Merwin translations


Here are the Yosa Buson winter kigo kanji numbered as in the W.S Merwin translations from Copper Canyon Press.

675, みのむしの得たりかしこし初時雨
676, 初しぐれ眉に烏帽子の雫哉
677, 楠の根を靜にぬらす時雨哉
678, 時雨るゝや蓑買ふ人のまことより
679, しぐるゝや鼠のわたる琴の上
680, 古傘の婆娑と月夜の時雨哉
681, しぐるゝや我も古人の夜に似たる
682, 夕時雨蟇ひそみ音に愁ふ哉
683, 爐に燒てけぶりを握る紅葉哉
684, 初冬や日和になりし京はづれ
685, 居眠リて我にかくれん冬ごもり
686, 冬ごもり壁をこゝろの山に倚
687, 冬ごもり燈下に書すとかゝれたり
688, 勝手まで誰が妻子ぞ冬ごもり
689, 冬ごもり佛にうときこゝろ哉
690, 嵐雪とふとん引合ふ佗寢かな
691, いばりせしふとんほしたり須磨の里
692, 故郷にひと夜は更るふとんかな
693, かしらへやかけん裾へや古衾
694, 大兵のかり寢あはれむ蒲團哉
695, 乕の尾を踏つゝ裾にふとんかな
696, あなたうと茶もだぶゝと十夜哉
697, 簔笠の衣鉢つたへて時雨哉
698, 夜興引や犬のとがむる塀の内
699, 枇杷の花鳥もすさめず日くれたり
700, 茶の花や白にも黄にもおぼつかな
701, 茶のはなや石をめぐりて路を取
702, 咲べくもおもはであるを石蕗花
703, 口切や五山衆なんどほのめきて
704, 口切や小城下ながら只ならね
705, 爐びらきや雪中庵の霰酒
706, 狐火や髑髏に雨のたまる夜に
707, 羽織着て綱もきく夜や川ちどり
708, 風雲の夜すがら月の千鳥哉
709, 磯ちどり足をぬらして遊びけり
710, 打よする浪や千鳥の横ありき
711, 水鳥や百姓ながら弓矢取
712, 里過て古江に鴛を見付たり
713, 水鳥や舟に菜を洗ふ女有
714, 加茂人の火を燧音や小夜鵆
715, 嵯峨寒しいざ先くだれ都鳥
716, 早梅や御室の里の賣屋敷
717, 宗任に水仙見せよ神無月
718, 小春凪眞帆も七合五勺かな
719, 冬の梅きのふやちりぬ石の上
720, 千葉どのゝ假家引ケたり枯尾花
721, たんぽゝのわすれ花あり路の霜
722, 小野ゝ炭匂ふ火桶のあなめ哉
723, われぬべき年もありしを古火桶
724, うづみ火や終には煮る鍋のもの
725, 炭うりに鏡見せたる女かな
726, 裙に置て心に遠き火桶かな
727, 炭團法師火桶の穴より窺ひけり
728, 巨燵出て早あしもとの野河哉
729, 腰ぬけの妻うつくしき巨燵かな
730, 沙彌律師ころりゝとふすま哉
731, 鋸の音貧しさよ夜半の冬
732, 彈山の質屋とざしぬ夜半の冬
733, むさゝびの小鳥はみ居る枯野哉
734, 大とこの糞ひりおはすかれの哉
735, 水鳥や枯木の中に駕二挺
736, 子を捨る藪さへなくて枯野哉
737, 草枯て狐の飛脚通りけり
738, 狐火の燃へつくばかり枯尾花
739, 息杖に石の火を見る枯野哉
740, 我も死して碑に邊せむ枯尾花
741, 馬の尾にいばらのかゝる枯野哉
742, 蕭條として石に日の入枯野かな
743, 痩脛や病より起ツ鶴寒し
744, 待人の足音遠き落葉哉
745, 菊は黄に雨疎かに落葉かな
746, 古寺の藤あさましき落葉哉
747, 往來待て吹田をわたる落ば哉
748, もしほ草柿のもと成落葉さへ
749, 西吹ケば東にたまる落葉かな
750, 鰒汁の宿赤ゝと燈しけり
751, ふぐ汁の我活キて居る寢覺哉
752, 秋風の呉人はしらじふぐと汁
753, 音なせそ叩くは僧よ鰒じる
754, 河豚の面世上の人を白眼ム哉
755, 缶うって鰒になき世の友とはむ
756, 袴着て鰒喰ふて居る町人よ
757, らうそくの涙氷るや夜の鶴
758, 凩に鰓吹るゝや鉤の魚
759, こがらしやひたとつまづく戻り馬
760, こがらしや畠の小石目に見ゆる
761, こがらしや何に世わたる家五軒
762, 凩やこの頃までは荻の風
763, 木枯や鐘に小石を吹あてる
764, こがらしや岩に裂行水の聲
765, 擂盆のみそみぐりや寺の霜
766, 麥蒔や百まで生る貌ばかり
767, 初雪や消ればぞ又草の露
768, 初雪の底を叩ば竹の月
769, 雪折や雪を湯に焚釜の下
770, 雪の暮鴫はもどつて居るような
771, うづみ火や我かくれ家も雪の中
772, いざ雪見容す簑と笠
773, 鍋さげて淀の小橋を雪の人
774, 雪白し加茂の氏人馬でうて
775, 雪折やよし野ゝ夢のさめる時
776, 漁家寒し酒に頭の雪を燒
777, 朝霜や室の揚屋の納豆汁
778, 入道のよゝとまいりぬ納豆汁
779, 朝霜や釼を握るつるべ繩
780, 宿かさぬ火影や雪の家つゞき
781, 霜百里舟中に我月を領す
782, 牙寒き梁の月の鼠かな
783, 山中の相雪中のぼたん哉
784, 町はづれいでや頭巾は小風呂敷
785, 引かふで耳をあはれむ頭巾哉
786, みどり子の頭巾眉深きいとをしみ
787, めし粒で紙子の破れふたぎけり
788, 此冬や帋衣着ようとおもひけり
789, 老を山へ捨し世も有に紙子哉
790, 我頭巾うき世のさまに似ずもがな
791, さゞめごと頭巾にかづく羽折哉
792, 頭巾着て聲こもりくの初瀬法師
793, 貌見せや夜着をはなるゝ妹が許
794, かほ見せや既うき世の飯時分
795, 貌見せやふとんをまくる東山
796, 新右衞門蛇足を誘ふ冬至かな
797, 書記典主故園に遊ぶ冬至哉
798, 水仙や寒き都のこゝかしこ
799, 水仙や美人かうべをいたむらし
800, 水仙や鵙の草莖花咲ぬ
801, 冬ざれや小鳥のあさる韮畠
802, 霜あれて韮を刈取翁かな
803, 葱買て枯木の中を歸りけり
804, ひともじの北へ枯臥古葉哉
805, 易水にねぶか流るゝ寒かな
806, 皿を踏鼠の音のさむさ哉
807, 靜なるかしの木はらや冬の月
808, 冬こだち月に隣をわすれたり
809, 二村に質屋一軒冬こだち
810, このむらの人は猿也冬木だち
811, 鴛に美を盡してや冬木立
812, 斧入て香におどろくや冬こだち
813, 鳴らし來て我夜あはれめ鉢叩
814, 一瓢のいんで寢よやれ鉢たゝき
815, 木のはしの坊主のはしやはちたゝき
816, ゆふがほのそれは髑髏歟鉢敲
817, 花に表太雪に君あり鉢叩
818, 西念はもう寢た里をはち敲
819, 御火焚や霜うつくしき京の町
820, 御火たきや犬も中ゝそゞろ貌
821, 足袋はいて寢る夜ものうき夢見哉
822, 宿かせと刀投出す雪吹哉
823, 寺寒く樒はみこぼす鼠かな
824, 杜父魚のえものすくなき翁哉
825, 愚に耐よと窓を暗す雪の竹
826, かんこ鳥は賢にして賤し寒苦鳥
827, 我のみの柴折くべるそば湯哉
828, 紙ぶすま折目正しくあはれ也
829, 氷る燈の油うかゞふ鼠かな
830, 炭取のひさご火桶に並び居る
831, 我を厭ふ隣家寒夜に鍋を鳴ラす
832, 齒豁に筆の氷を噛ム夜哉
833, 一しきり矢種の盡るあられ哉
834, 玉霰漂母が鍋をみだれうつ
835, 古池に草履沈ミてみぞれ哉
836, 山水の減るほど減りて氷かな
837, 乾鮭や琴に斧うつひゞきあり
838, から鮭に腰する市の翁かな
839, からざけや帶刀殿の臺所
840, 詫禪師乾鮭に白頭の吟を彫
841, 寒梅や火の迸る鐵より
842, 寒梅を手折響や老が肘
843, 寒月や門なき寺の天高し
844, 寒月や鋸岩のあからさま
845, 寒月や枯木の中の竹三竿
846, 寒月や衆徒の群議の過て後
847, 寒聲や古うた諷ふ誰が子ぞ
848, 細道になり行聲や寒念佛
849, 極樂の近道いくつ寒念佛
850, 寒垢離や上の町まで來たりけり
851, 寒ごりやいざまいりそふ一手桶
852, 鯨賣市に刀を皷しけり
853, しづゝと五徳居えけり藥喰
854, 藥喰隣の亭主箸持參
855, くすり喰人に語るな鹿ケ谷
856, 妻や子の寢貌も見へつ藥喰
857, 客僧の狸寢入やくすり喰
858, 靈運もこよひはゆるせとし忘
859, にしき木の立聞もなき雜魚寢哉
860, おとろひや小枝も捨ぬとし木樵
861, うぐひすの啼や師走の羅生門
862, 御經に似てゆかしさよ古暦
863, としひとつ積るや雪の小町寺
864, ゆく年の瀬田を廻るや金飛脚
865, とし守夜老はたうとく見られたり
866, 石公へ五百目もどすとしのくれ
867, とし守や乾鮭の太刀鱈の棒
868, 芭蕉去てそのゝちいまだ年くれず



Friday 4 July 2014

Yosa Buson autumn kigo haiku for Merwin translations in Japanese kanji and kana


Here are the autumn kigo haiku of Yosa Buson such as index against the W.S. Merwin translations from Copper Canyon Press.

458   秋來ぬと合點させたる嚔かな
459   秋たつや何におどろく陰陽師
460   貧乏に追つかれけりけさの秋
461   秋立や素湯香しき施藥院
462   初秋や餘所の灯見ゆる宵のほど
463   とうろうを三たびかゝげぬ露ながら
464   高燈籠滅なんとするあまたゝび
465   梶の葉を朗詠集のしほり哉
466   戀さま%\願の糸も白きより
467   つと入やしる人に逢ふ拍子ぬけ
468   あぢきなや蚊屋の裙蹈魂祭
469   魂棚をほどけばもとの座敷哉
470   大文字やあふみの空もたゞならね
471   相阿彌の宵寢起すや大文字
472   攝待にきせるわすれて西へ行
473   四五人に月落かゝるおどり哉
474   ひたと犬の啼町越へて躍かな
475   萍のさそひ合せておどり哉
476   いな妻や八丈かけてきくた摺
477   いな妻の一網うつやいせのうみ
478   いなづまや堅田泊リの宵の空
479   稲妻にこぼるゝ音や竹の露
480   日ごろ中よくて耻あるすまひ哉
481   飛入の力者あやしき角力かな
482   夕露や伏見の角力ちり%\に
483   負まじき角力を寢ものがたり哉
484   遊行柳のもとにて
485   小狐の何にむせけむ小萩はら
486   薄見つ萩やなからむ此ほとり
487   山は暮て野は黄昏の薄哉
488   女郎花そも莖ながら花ながら
489   里人はさともおもはじをみなへし
490   秋ふたつうきをますほの薄哉
491   茨老すゝき痩萩おぼつかな
492   猪の露折かけてをみなへし
493   白萩を春わかちとるちぎり哉
494   垣ね潜る薄ひともと眞蘇枋なる
495   きちかうも見ゆる花屋が持佛堂
496   朝がほや一輪深き淵のいろ
497   朝貌や手拭のはしの藍をかこつ
498   夜の蘭香にかくれてや花白し
499   蘭夕狐のくれし奇楠を炷かむ
500   花すゝきひと夜はなびけ武藏坊
501   しら露やさつ男の胸毛ぬるゝほど
502   ものゝふの露はらひ行弰かな
503   立去ル事一里眉毛に秋の峰寒し
504   白露や茨の刺にひとつづゝ
505   狩倉の露におもたきうつぼ哉
506   市人の物うちかたる露の中
507   身にしむや横川のきぬをすます時
508   身にしむや亡妻の櫛を閨に踏
509   朝露やまだ霜しらぬ髪の落
510   葛の葉のうらみ貌なる細雨哉
511   朝貌にうすきゆかりの木槿哉
512   朝霧や村千軒の市の音
513   朝霧や杭打音丁々たり
514   もの焚て花火に遠きかゝり舟
515   花火せよ淀の御茶屋の夕月夜
516   八朔や扨明日よりは二日月
517   初汐に追れてのぼる小魚哉
518   水一筋月よりうつす桂河
519   虫賣のかごとがましき朝寢哉
520   むし啼や河内通ひの小でうちん
521   みのむしや秋ひだるしと鳴なめり
522   蠧て下葉ゆかしきたばこ哉
523   小百姓[uzura ]を取老となりにけり
524   鬼灯や清原の女が生寫し
525   日は斜關屋の鎗にとんぼかな
526   中ゝにひとりあればぞ月を友
527   名月にゑのころ捨る下部哉
528   身の闇の頭巾も通る月見かな
529   月天心貧しき町を通りけり
530   月今宵松にかへたるやどり哉
531   名月や雨を溜たる池のうへ
532   名月やうさぎのわたる諏訪の海
533   旅人よ笠嶋かたれ雨の月
534   月今宵あるじの翁舞出よ
535   仲丸の魂祭せむけふの月
536   名月や夜は人住ぬ峰の茶屋
537   山の端や海を離るゝ月も今
538   庵の月主をとへば芋掘に
539   かつまたの池は闇也けふの月
540   月見ればなみだに碎く千々の玉
541   花守は野守に劣るけふの月
542   名月や神泉苑の魚躍る
543   一行の鴈や端山に月を印す
544   紀の路にも下りず夜を行鴈ひとつ
545   雨の鹿戀に朽ぬは角ばかり
546   鹿寒し角も身に添ふ枯本哉
547   鹿啼てはゝその木末あれにけり
548   菜畠の霜夜は早し鹿の聲
549   三度啼て聞へずなりぬ鹿の聲
550   鹿ながら山影門に入日哉
551   鹿の聲小坊主に角なかりけり
552   折あしく門こそ叩け鹿の聲
553   去年より又さびしひぞ秋の暮
554   父母のことのみおもふ秋のくれ
555   あちらむきに鴫も立たり秋の暮
556   我がてに我をまねくや秋の暮
557   門を出れば我も行人秋のくれ
558   弓取に哥とはれけり秋の暮
559   淋し身に杖わすれたり秋の暮
560   木曾路行ていざとしよらん秋ひとり
561   かなしさや釣の糸吹あきの風
562   秋の風書むしばまず成にけり
563   金屏の羅は誰カあきのかぜ
564   秋風や干魚かけたる濱庇
565   去來去移竹移りぬいく秋ぞ
566   順禮の目鼻書ゆくふくべ哉
567   腹の中へ齒はぬけけらし種ふくべ
568   あだ花にかゝる耻なし種ふくべ
569   人の世に尻を居へたるふくべ哉
570   我足にかうべぬかるゝ案山子哉
571   御所柿にたのまれ貌のかゞし哉
572   姓名は何子か號は案山子哉
573   三輪の田に頭巾着て居るかゞしかな
574   山陰や誰呼子鳥引板の音
575   秋かぜのうごかして行案山子哉
576   水落て細脛高きかゞし哉
577   故郷や酒はあしくとそばの花
578   宮城野ゝ萩更科の蕎麥にいづれ
579   道のべや手よりこぼれて蕎麥花
580   落る日のくゝりて染る蕎麥の莖
581   黒谷の隣はしろしそばのはな
582   なつかしきしをにがもとの野菊哉
583   綿つみやたばこの花を見て休む
584   三徑の十歩に盡て蓼の花
585   甲斐がねや穗蓼の上を鹽車
586   沙魚釣の小舟漕なる窓の前
587   百日の鯉切尽て鱸かな
588   釣上し鱸の巨口玉や吐
589   水かれゝ蓼歟あらぬ歟蕎麥歟否歟
590   小鳥來る音うれしさよ板びさし
591   此森もとかく過けり鵙おとし
592   山雀や榧の老木に寢にもどる
593   たつ鴫に眠る鴫ありふた法師
594   鴫立て秋天ひきゝながめ哉
595   わたり鳥こゝをせにせん寺林
596   わたり鳥雲の機手のにしき哉
597   瀬田降て志賀の夕日や江鮭
598   駒迎ことにゆゝしや額白
599   秋の暮辻の地藏に油さす
600   秋の燈やゆかしき奈良の道具市
601   追剥を弟子に剃けり秋の旅
602   秋雨や水底の草を蹈わたる
603   おのが身の闇より吼て夜半の秋
604   甲賀衆のしのびの賭や夜半の秋
605   枕上秋の夜を守る刀かな
606   身の秋や今宵をしのぶ翌もあり
607   小路行ばちかく聞ゆるきぬた哉
608   うき人に手をうたれたる砧かな
609   遠近をちこちとうつきぬた哉
610   うき我に砧うて今は又止ミね
611   石を打狐守夜のきぬた哉
612   鳥羽殿へ五六騎いそぐ野分哉
613   門前の老婆子薪貪る野分かな
614   梺なる我蕎麥存す野分哉
615   市人のよべ問かはすのはきかな
616   客僧の二階下り來る野分哉
617   秋寒し藤太が鏑ひゞく時
618   角文字のいざ月もよし牛祭
619   うら枯やからきめ見つる漆の樹
620   物書に葉うらにめづる芭蕉哉
621   稻かけて風もひかさじ老の松
622   水かれて池のひづみや後の月
623   山茶花の木間見せけり後の月
624   泊る氣でひとり來ませり十三夜
625   十月の今宵はしぐれ後の月
626   唐人よ此花過てのちの月
627   日でりどし伏水の小菊もらひけり
628   きくの露受て硯のいのち哉
629   いでさらば投壺まいらせん菊の花
630   白菊や呉山の雪を笠の下
631   手燭して色失へる黄菊哉
632   村百戸菊なき門も見へぬ哉
633   あさましき桃の落葉よ菊畠
634   菊作り汝は菊の奴かな
635   西行の夜具も出て有紅葉哉
636   ひつぢ田に紅葉ちりかゝる夕日かな
637   谷水の盡てこがるゝもみぢ哉
638   よらで過る藤澤寺のもみぢ哉
639   むら紅葉會津商人なつかしき
640   笛の音に波もより來る須磨の秋
641   雨乞の小町が果やをとし水
642   村ゝの寢ごゝろ更ぬ落し水
643   毛見の衆の舟さし下せ最上川
644   新米の坂田は早しもがみ河
645   落穗拾ひ日あたる方へあゆみ行
646   猿どのゝ夜寒訪ゆく兎かな
647   壁隣ものごとつかす夜さむ哉
648   缺ゝて月もなくなる夜寒哉
649   起て居てもう寢たといふ夜寒哉
650   夜を寒み小冠者臥たり北枕
651   長き夜や通夜の連哥のこぼれ月
652   山鳥の枝踏かゆる夜長哉
653   子鼠のちゝよと啼や夜半の秋
654   秋風や酒肆に詩うたふ漁者樵者
655   秋はものゝそばの不作もなつかしき
656   丸盆の椎にむかしの音聞む
657   椎拾ふ横河の兒のいとま哉
658   餉にからき涙やとうがらし
659   俵して藏め蓄へぬ番椒
660   折くるゝ心こぼさじ梅もどき
661   梅もどき折や念珠をかけながら
662   にしき木を立ぬ垣根や番椒
663   稚子の寺なつかしむいてう哉
664   茸狩や頭を擧れば峰の月
665   茯苓は伏かくれ松露はあらはれぬ
666   うれしさの箕にあまりたるむかご哉
667   鬼貫や新酒の中の貧に處ム
668   栗備ふ惠心の作の彌陀佛
669   にしき木は吹たふされて鶏頭花
670   くれの秋有職の人は宿に在す
671   いさゝかなをいめ乞れぬ暮の秋
672   行秋やよき衣きたる掛リ人
673   跡かくす師の行方や暮の秋
674   冬ちかし時雨の雲もこゝよりぞ

The haiku above correspond to those found in the Japanese text of haikushuu for Buson.

See my previous post for a hiragana first line index to the Merwin autumn haiku translations.




Wednesday 2 July 2014

W.S. Merwin's translations of Buson summer haiku : a first-lines index in hiragana


Here is a first line index in hiragana for the Merwin translations of the summer kigo haiku of Yosa Buson published by Copper Canyon Press.

225, Summer Clothes, きにきせぬ
226, Summer Clothes, つじがこに
227, Summer Clothes, だいひょうの
228, Summer Clothes, ころもがえ
229, Summer Clothes, A Distant View, ころもがえ
230, Summer Clothes, たのもしき
231, Summer Clothes, やせずねの
232, Summer Clothes, おてうちの
233, Summer Clothes, An Old Acquaintance sent ..., たちばなの
234, Summer Clothes, ころもがえ
235, The Little Cuckoo, さやばしる
236, The Little Cuckoo, ほととぎす
237, The Little Cuckoo, ほととぎす
238, The Little Cuckoo, はるすぎて
239, The Little Cuckoo, ほととぎす
240, The Little Cuckoo, ほととぎす
241, The Little Cuckoo, いわくらの
242, The Little Cuckoo, いなばどのの
243, The Little Cuckoo, Sending a Letter ..., わするなの
244, The Little Cuckoo, うたなくて
245, The Little Cuckoo, くさのあめ
246, Peonies, ぼたんちりて
247, Peonies, With His Tongue Waving ..., えんおうの
248, Peonies, せきとして
249, Peonies, だんじりの
250, Peonies, ちりてのち
251, Peonies, ぼたんきって
252, Peonies, やまありの
253, Peonies, ひろにわの
254, The Call Of The Cuckoo, きょうこじの
255, The Call Of The Cuckoo, かんこどり
256, The Call Of The Cuckoo, やまびとは
257, The Call Of The Cuckoo, めしつぎの
258, The Call Of The Cuckoo, あしあとを
259, The Call Of The Cuckoo, うえみえぬ
260, The Call Of The Cuckoo, むつかしき
261, The Call Of The Cuckoo, かんこどり
262, The Call Of The Cuckoo, かんこどり
263, The Call Of The Cuckoo, なのれなのれ
264, Short Summer Nights, かきつばた
265, Short Summer Nights, よいよいの
266, Short Summer Nights, Upon Parting with Unribo at Hashidate, みじかよや
267, Short Summer Nights, あゆくれて
268, Short Summer Nights, みじかよや
269, Short Summer Nights, みじかよや
270, Short Summer Nights, みじかよや
271, Short Summer Nights, みじかよや
272, Short Summer Nights, みじかよや
273, Short Summer Nights, An Old Dog, みじかよを
274, Short Summer Nights, みじかよや
275, Short Summer Nights, みじかよや
276, Short Summer Nights, みじかよや
277, Short Summer Nights, みじかよや
278, Short Summer Nights, みじかよや
279, Summer Flowers And Fruit, うのはなの
280, Summer Flowers And Fruit, きてみれば
281, Summer Flowers And Fruit, How Sad — I did not follow Saigyo's wishes, みざくらや
282, Summer Flowers And Fruit, しののめや
283, Summer Flowers And Fruit, すながわや
284, Summer Flowers And Fruit, たでのはを
285, Summer Flowers And Fruit, みいでらや
286, Summer Flowers And Fruit, Upon Moving to a New Cottage, つりしのぶ
287, Summer Flowers And Fruit, かやをでて
288, Summer Flowers And Fruit, まどのほの
289, Summer Flowers And Fruit, ふじひとつ
290, Summer Flowers And Fruit, ぜっちょうの
291, Summer Flowers And Fruit, わかばして
292, Summer Flowers And Fruit, やまにそうて
293, Summer Flowers And Fruit, だをきって
294, Mosquitoes, かやのうちに
295, Mosquitoes, あまでらや
296, Mosquitoes, あらすずし
297, Mosquitoes, かやをでて
298, Mosquitoes, あけやすき
299, Mosquitoes, ふるいどや
300, Mosquitoes, うわかぜに
301, Mosquitoes, かやりして
302, Mosquitoes, At Saga, さんげんや
303, Mosquitoes, かのこえす
304, Mosquitoes, かやすりて
305, Early Summer, わかたけや
306, Early Summer, たけのこの
307, Early Summer, わかたけや
308, Early Summer, たけのこや
309, Early Summer, けしのはな
310, Early Summer, かきこえて
311, Early Summer, Upon Visiting ..., うわかぜに
312, Early Summer, ながたびや
313, Early Summer, びょうにんの
314, Early Summer, たびしばい
315, Early Summer, At Bashō’s Hut ..., そばあしき
316, Early Summer, きつねびや
317, Early Summer, On the way home ..., うすずくや
318, Early Summer, At a place called ..., なつかわを
319, Marinated Sushi, なれすぎた
320, Marinated Sushi, すしおけを
321, Marinated Sushi, すしつけて
322, Marinated Sushi, ふなずしや
323, Marinated Sushi, The Third Memorial for ..., むぎかりぬ
324, Marinated Sushi, かりそめに
325, The Path Through Wild Roses, はないばら
326, The Path Through Wild Roses, みちたえて
327, The Path Through Wild Roses, うれいつつ
328, Summertime, On the day Bashō’s Hut was completed, じもくはいちょう
329, Summertime, あおうめに
330, Summertime, あおうめを
331, Summertime, かわほりや
332, Summertime, ゆうかぜや
333, Summertime, たちばなの
334, Summertime, Upon a visit by ..., ちまきといて
335, Summertime, なつやまや
336, Summertime, Thought, しいのはな
337, Summertime, みずふかく
338, Summertime, しののめや
339, Summertime, さいじゅんを
340, Summertime, ものはなや
341, Summertime, みちのべの
342, Summertime, むしのために
343, Summertime, Furukuni invites ..., うきくさを
344, The May Rain, さみだれの
345, The May Rain, むずうみえ
346, The May Rain, さみだれや
347, The May Rain, さみだれや
348, The May Rain, おだわらで
349, The May Rain, さみだれの
350, The May Rain, さつきあめ
351, The May Rain, Upon My First Meeting Priest Seihan, みずおけに
352, Summer Visitors, いずこより
353, Summer Visitors, さけじゅうだ
354, Summer Visitors, おろしおく
355, Summer Visitors, ゆきゆきて
356, Summer Visitors, As Goyu ..., はがくれの
357, Summer Visitors, さられたる
358, Summer Visitors, なまずえて
359, Summer Visitors, かりぎぬの
360, Summer Visitors, An Idle Student by the Window, がくもんは
361, Summer Afternoon, ででむしや
362, Summer Afternoon, ででむしの
363, Summer Afternoon, こもりいて
364, Summer Afternoon, せっしんが
365, Summer Afternoon, ことはおおく
366, Summer Afternoon, せきのとに
367, Summer Afternoon, うわばみの
368, Summer Afternoon, はえいとう
369, Cormorant Fishermen, たれすみて
370, Cormorant Fishermen, しののめや
371, Cormorant Fishermen, ろうなりし
372, Cormorant Fishermen, とのばらの
373, Cormorant Fishermen, うぶねこぐ
374, A Summer Retreat, げひゃぎにち
375, A Summer Retreat, ほをもって
376, A Summer Retreat, Upon dreaming of Mount Fuji ..., ふりかえて
377, A Summer Retreat, On Banan taking ..., ぬぎかゆる
378, A Summer Retreat, いしきりの
379, A Summer Retreat, おちおうて
380, A Summer Retreat, Maruyama Ōkyo asked ..., ぜにがめや
381, A Summer Retreat, 「futari」, ふたりして
382, A Summer Retreat, わがやどに
383, Summer Grass and Flowers, くさいきれ
384, Summer Grass and Flowers, 「Convolvulus」, ひるがおや
385, Summer Grass and Flowers, ゆうがおや
386, Summer Grass and Flowers, ゆうがおの
387, Lotus, Peeking into ..., とびいしも
388, Lotus, 「hasu」, はすのかや
389, Lotus, すいがらの
390, Lotus, びゃくれんを
391, Lotus, こうほねの
392, Lotus, うすものに
393, Praying for Rain, あまごいに
394, Praying for Rain, まけばらの
395, Praying for Rain, おうつぶな
396, Summer Moon, よみずとる
397, Summer Moon, どうもりの
398, Summer Moon, ぬけがけの
399, Summer Moon, かわたろの
400, Melon Shed, うりごやの
401, Melon Shed, かみなりに
402, Melon Shed, あだばなは
403, Melon Shed, At His Home, ゆみとりの
404, Melon Shed, 「takamushiro」, ほそはぎに
405, Sweet Amazake Brew, At Hakone, あまざけの
406, Sweet Amazake Brew, みほとけに
407, Sweet Amazake Brew, ぐちむちの
408, Cicadas, At Home, はんじつの
409, Cicadas, だいぶつの
410, Cicadas, せみなくや
411, Cicadas, せみなくや
412, Sachet, かけこうや
413, Sachet, かけこうや
414, Sachet, かけこうや
415, Fans, ありとみえて
416, Fans, とかくして
417, Fans, えうちわの
418, Fans, てすさびの
419, Fans, わたしよぶ
420, Gion Festival, festival, ぎよんえや
421, Gion Festival, ぎよんえや
422, ByThe River, sitting on the west bank, じょうざんの
423, ByThe River, あみうちの
424, ByThe River, すずしさや
425, ByThe River, to conjure up ..., かわゆかや
426, ByThe River, かわゆかに
427, ByThe River, すずしさや
428, ByThe River, free-time by Kamo River, かわがりや
429, ByThe River, うごのつき
430, ByThe River, つきにたいす
431, ByThe River, かわがりや
432, Summer Showers, ゆうだちや
433, Summer Showers, ゆうだちや
434, Summer Showers, ゆうだちや
435, Poverty, はらあしき
436, Poverty, みずのこの
437, Poverty, みずのこや
438, Towering Clouds, はつかじの
439, Towering Clouds, ようしゅうの
440, Towering Clouds, あめとなる
441, Towering Clouds, くものみね
442, Late Summer Heat, はありとぶや
443, Late Summer Heat, ひがえりの
444, Late Summer Heat, すわりたる
445, Late Summer Heat, Fan and Warrior, あつきひの
446, Arrowroot Water, そうかんに
447, Arrowroot Water, くずをえて
448, Hot Summer Days, はしいいて
449, Hot Summer Days, ほうこじは
450, Hot Summer Days, むしぼしや
451, Hot Summer Days, ところてん
452, Summer Ceremonies, Miyajima, くんぷうや
453, Summer Ceremonies, はだかみに
454, Summer Ceremonies, つくぼうた
455, Summer Ceremonies, きゅうのない
456, Summer Ceremonies, いでみずの
457, Summer Ceremonies, in village called Tanaka on Kamo River, ゆうがおに

The index matches 1-to-1 to the summer haiku in Japanese kanji and kana in my previous post.




Buson summer haiku for Merwin but in kanji and kana


Here are the summer kigo haiku of Yosa Buson such as index against the W.S. Merwin translations from Copper Canyon Press.

225    絹着せぬ家中ゆゝしき更衣
226    辻駕によき人のせつころもがへ
227    大兵の廿チあまりや更衣
228    ころもがへ印籠買に所化二人
229    更衣野路の人はつかに白し
230    たのもしき矢數のぬしの袷哉
231    痩臑の毛に微風あり更衣
232    御手討の夫婦なりしを更衣
233    橘のかごとがましきあはせかな
234    更衣いやしからざるはした錢
235    鞘走る友切丸やほとゝぎす
236    ほとゝぎす平安城を筋違に
237    子規柩をつかむ雲間より
238    春過てなつかぬ鳥や杜鵑
239    ほとゝぎす待や都のそらだのめ
240    時鳥繪になけ東四郎次郎
241    岩倉の狂女戀せよ子規
242    稻葉殿の御茶たぶ夜や時鳥
243    わするなよほどは雲助ほとゝぎす
244    哥なくてきぬゝつらし時鳥
245    草の雨祭の車過てのち
246    牡丹散て打かさなりぬ二三片
247    閻王の口や牡丹を吐んとす
248    寂として客の絶間のぼたん哉
249    地車のとゞろとひゞく牡丹かな
250    ちりて後おもかげにたつぼたん哉
251    牡丹切て氣のおとろひし夕かな
252    山蟻のあからさま也白牡丹
253    廣庭のぼたんや天の一方に
254    狂居士の首にかけた歟鞨鼓鳥
255    閑居鳥寺見ゆ麥林寺とやいふ
256    山人は人也かんこどりは鳥なりけり
257    食次の底たゝく音トやかんこ鳥
258    足跡を字にもよまれず閑古鳥
259    うへ見えぬ笠置の森やかんこどり
260    むつかしき鳩の禮儀やかんこどり
261    閑居鳥さくらの枝も踏で居る
262    かんこどり可もなく不可もなくね哉
263    名のれゝ雨しのはらのほとゝぎす
264    かきつばたべたりと鳶のたれてける
265    宵ゝの雨に音なし杜若
266    みじか夜や六里の松に更たらず
267    鮎くれてよらで過行夜半の門
268    みじか夜や毛むしの上に露の玉
269    短夜や同心衆の川手水
270    みじか夜や枕にちかき銀屏風
271    短夜や芦間流るゝ蟹の泡
272    みじか夜や二尺落ゆく大井川
273    みじか夜を眠らでもるや翁丸
274    短夜や浪うち際の捨篝
275    みじか夜やいとま給る白拍子
276    みじか夜や小見世明たる町はづれ
277    短夜や一つあまりて志賀の松
278    みじか夜や伏見の戸ぼそ淀の窓
279    卯の花のこぼるゝ蕗の廣葉哉
280    來て見れば夕の櫻實となりぬ
281    實ざくらや死のこりたる菴の主
282    しのゝめや雲見えなくに蓼の雨
283    砂川や或は蓼を流れ越す
284    蓼の葉を此君と申せ雀鮓
285    三井寺や日は午にせまる若楓
286    釣しのぶかやにさはらぬ住居かな
287    蚊屋を出て奈良を立ゆく若葉哉
288    窓の燈の梢にのぼる若葉哉
289    不二ひとつうづみ殘してわかばかな
290    絶頂の城たのもしき若葉かな
291    若葉して水白く麥黄ミたり
292    山に添ふて小舟漕ゆく若ば哉
293    蛇を截てわたる谷路の若葉哉
294    蚊屋の内にほたる放してアヽ樂や
295    尼寺や能キたるゝ宵月夜
296    あら凉し裾吹蚊屋も根なし草
297    蚊屋を出て内に居ぬ身の夜は明ぬ
298    明やすき夜をかくしてや東山
299    古井戸や蚊に飛ぶ魚の音くらし
300    うは風に蚊の流れゆく野河哉
301    蚊やりしてまいらす僧の坐右かな
302    三軒家大坂人のかやり哉
303    蚊の聲す忍冬の花の散ルたびに
304    蚊屋つりて翠微つくらむ家の内
305    若竹や橋本の遊女ありやなし
306    笋の藪の案内やをとしざし
307    若竹や夕日の嵯峨と成にけり
308    筍や甥の法師が寺とはん
309    けしの花籬すべくもあらぬ哉
310    垣越て蟇の避行かやりかな
311    うは風に音なき麥を枕もと
312    長旅や駕なき村の麥ほこり
313    病人の駕も過けり麥の秋
314    旅芝居穗麥がもとの鏡たて
315    蕎麥あしき京をかくして穗麥哉
316    狐火やいづこ河内の麥畠
317    春や穗麥が中の水車
318    夏河を越すうれしさよ手に草履
319    なれ過た鮓をあるじの遺恨哉
320    鮓桶をこれへと樹下に床几哉
321    鮓つけて誰待としもなき身哉
322    鮒ずしや彦根が城に雲かゝる
323    麥刈ぬ近道來ませ法の杖
324    かりそめに早百合生ケたり谷の房
325    花いばら故郷の路に似たる哉
326    路たえて香にせまり咲いばらかな
327    愁ひつゝ岡にのぼれば花いばら
328    耳目肺腸こゝに玉卷ばせを庵
329    青梅に眉あつめたる美人哉
330    青うめをうてばかつ散る青葉かな
331    かはほりやむかひの女房こちを見る
332    夕風や水青鷺の脛をうつ
333    たちばなのかはたれ時や古舘
334    粽解て芦吹風の音聞ん
335    夏山や通ひなれたる若狹人
336    椎の花人もすさめぬにほひ哉
337    水深く利鎌鳴らす眞菰刈
338    しのゝめや露の近江の麻畠
339    採蓴を諷ふ彦根のそう夫哉
340    藻の花や片われからの月もすむ
341    路邊の刈藻花さく宵の雨
342    虫のために害はれ落ツ柿の花
343    うき草を吹あつめてや花むしろ
344    さみだれのうつぼ柱や老が耳
345    湖へ富士をもどすやさつき雨
346    さみだれや大河を前に家二軒
347    さみだれや佛の花を捨に出る
348    小田原で合羽買たり皐月雨
349    さみだれの大井越たるかしこさよ
350    さつき雨田毎の闇となりにけり
351    水桶にうなづきあふや瓜茄子
352    いづこより礫うちけむ夏木立
353    酒十駄ゆりもて行や夏こだち
354    おろし置笈に地震なつ野哉
355    行々てこゝに行々夏野かな
356    葉がくれの枕さがせよ瓜ばたけ
357    離別れたる身を蹈込で田植哉
358    鯰得て歸る田植の男かな
359    狩衣の袖のうら這ふほたる哉
360    學問は尻からぬけるほたる哉
361    でゝむしやその角文字のにじり書
362    蝸牛の住はてし宿やうつせ貝
363    こもり居て雨うたがふや蝸牛
364    雪信が蠅うち拂ふ硯かな
365    こと葉多く早瓜くるゝ女かな
366    關の戸に水鶏のそら音なかりけり
367    蝮の鼾も合歡の葉陰哉
368    蠅いとふ身を古郷に晝寢かな
369    誰住て樒流るゝ鵜川哉
370    しのゝめや鵜をのがれたる魚淺し
371    老なりし鵜飼ことしは見えぬ哉
372    殿原の名古屋貌なる鵜川かな
373    鵜舟漕ぐ水窮まれば照射哉
374    夏百日墨もゆがまぬこゝろかな
375    日を以て數ふる筆の夏書哉
376    降かへて日枝を廿チの化粧かな
377    脱かゆる梢もせみの小河哉
378    石工の鑿冷したる清水かな
379    落合ふて音なくなれる清水哉
380    錢龜や青砥もしらぬ山清水
381    二人してむすべば濁る清水哉
382    我宿にいかに引べきしみづ哉
383    草いきれ人死居ると札の立
384    晝がほやこの道唐の三十里
385    ゆふがほや黄に咲たるも有べかり
386    夕貌の花噛ム猫や餘所ごゝろ
387    飛石も三ツ四ツ蓮のうき葉哉
388    蓮の香や水をはなるゝ莖二寸
389    吹殻の浮葉にけぶる蓮見哉
390    白蓮を切らんとぞおもふ僧のさま
391    河骨の二もとさくや雨の中
392    羅に遮る蓮のにほひ哉
393    雨乞に曇る國司のなみだ哉
394    負腹の守敏も降らす旱かな
395    大粒な雨は祈の奇特かな
396    夜水とる里人の聲や夏の月
397    堂守の小草ながめつ夏の月
398    ぬけがけの淺瀬わたるや夏の月
399    河童の戀する宿や夏の月
400    瓜小家の月にやおはす隱君子
401    雷に小家は燒れて瓜の花
402    あだ花は雨にうたれて瓜ばたけ
403    弓取の帶の細さよたかむしろ
404    細脛に夕風さはる箪
405    あま酒の地獄もちかし箱根山
406    御佛に畫備へけりひと夜酒
407    愚痴無智のあま酒造る松が岡
408    半日の閑を榎やせみの聲
409    大佛のあなた宮樣せみの聲
410    蝉鳴や行者の過る午の刻
411    蝉啼や僧正坊のゆあみ時
412    かけ香や何にとゞまるせみ衣
413    かけ香や唖の娘のひとゝなり
414    かけ香やわすれ貌なる袖だゝみ
415    有と見へて扇の裏繪おぼつかな
416    とかくして笠になしつる扇哉
417    繪團のそれも清十郎にお夏かな
418    手ずさびの團畫かん草の汁
419    渡し呼草のあなたの扇哉
420    祇園會や眞葛原の風かほる
421    ぎをん會や僧の訪よる梶が許
422    丈山の口が過たり夕すゞみ
423    網打の見へずなり行凉かな
424    すゞしさや都を竪にながれ川
425    河床や蓮からまたぐ便にも
426    川床に憎き法師の立居かな
427    凉しさや鐘をはなるゝかねの聲
428    川狩や樓上の人の見しり貌
429    雨後の月誰ソや夜ぶりの脛白き
430    月に對す君に唐網の水煙
431    川狩や歸去來といふ聲す也
432    ゆふだちや筆もかはかず一千言
433    白雨や門脇どのゝ人だまり
434    夕だちや草葉をつかむむら雀
435    腹あしき僧こぼし行施米哉
436    水の粉のきのふに尽ぬ草の菴
437    水の粉やあるじかしこき後家の君
438    廿日路の背中にたつや雲峰
439    揚州の津も見えそめて雲の峯
440    雨と成戀はしらじな雲の峯
441    雲のみね四澤の水の涸てより
442    飛蟻とぶや富士の裾野ゝ小家より
443    日歸りの兀山越るあつさ哉
444    居りたる舟に寢てゐる暑かな
445    暑き日の刀にかゆる扇かな
446    宗鑑に葛水給ふ大臣かな
447    葛を得て清水に遠きうらみ哉
448    端居して妻子を避る暑かな
449    褒居士はかたい親父よ竹婦人
450    虫干や甥の僧訪ふ東大寺
451    ところてん逆しまに銀河三千尺
452    薫風やともしたてかねついつくしま
453    裸身に神うつりませ夏神樂
454    つくばふた禰宜でことすむ御祓哉
455    灸のない背中流すや夏はらへ
456    出水の加茂に橋なし夏祓
457    ゆふがほに秋風そよぐみそぎ川

The haiku above correspond to those found in the Japanese text of haikushuu for Buson.

See my next post for a hiragana first line index to the Merwin summer haiku translations.




Monday 30 June 2014

W.S. Merwin's translations of Buson spring haiku with hiragana 1st line index


Here are the same 224 haiku as found in W.S. Merwin's translations of Yosa Buson's spring kigo haiku with first lines in hiragana script. They match 1-to-1 to the 224 haiku in Japanese kanji and kana in the previous post.

1  new year, ほうらいの
2  new year, ひのひかり
3  new year, さんわんの
4  bush warbler, woven bamboo fences, うぐいすの
5  bush warbler, うぐいすの
6  bush warbler, うぐいすの
7  bush warbler, うぐいすを
8  bush warbler, caption to a painting, うぐいすや
9  bush warbler, うぐいすの
10  bush warbler, うぐいすや
11  bush warbler, うぐいすや
12  bush warbler, うぐいすの
13  weeping willows, The Palace in Blue Spring Twilight, あおやぎや
14  weeping willows, わかくさに
15  weeping willows, うめちりて
16  weeping willows, すてやらで
17  weeping willows, あおやぎや
18  weeping willows, でるくいを
19  Plum Trees in Flower, A Grass Hut, ふたもとの
20  Plum Trees in Flower, うめおろて
21  Plum Trees in Flower, はくばいや
22  Plum Trees in Flower, しらうめや
23  Plum Trees in Flower, まいまいの
24  Plum Trees in Flower, いずべくとして
25  Plum Trees in Flower, やどのうめ
26  Plum Trees in Flower, すみずみに
27  Plum Trees in Flower, しらうめや
28  Plum Trees in Flower, うめちるや
29  Plum Trees in Flower, うめさいて
30  Plum Trees in Flower, げんぱちを
31  Plum Trees in Flower, ひをおかで
32  Plum Trees in Flower, spelling and meaning, うめさきぬ
33  Plum Trees in Flower, しらうめの
34  Plum Trees in Flower, あずきうる
35  Plum Trees in Flower, うめおちこち
36  Early Spring, なにわめや
37  Early Spring, ぎょきのかね
38  The Servants’Holiday, やぶいりの
39  The Servants’Holiday, やぶいりや
40  The Servants’Holiday, やぶいりや
41  The Servants’Holiday, やぶいりや
42  The Servants’Holiday, やぶいりわ
43  Spring Air, The Seventh Day of the New Year, ななくさや
44  Spring Air, これきりに
45  Spring Air, ふるでらや
46  Spring Air, Upon Touring Wakinohama with Kito, すじかいに
47  Spring Air, ひじしろき
48  Spring Air, はるのよに
49  Spring Air, しゅんげつや
50  Spring Air, Hearing the Koto, しょうしょうの
51  Spring Air, おりくぎに
52  Spring Air, きんだちに
53  Spring Air, Chinese poets cherish …, はろのよや
54  Spring Air, おんなぐして
55  Spring Air, くすりぬすむ
56  Spring Air, よきひとを
57  Spring Air, さしぬきを
58  Spring Air, Looking across the Field, くさかすみ
59  Spring Air, しなんしゃを
60  Spring Air, こまぶねの
61  The Rivers in Spring, はしなくて
62  The Rivers in Spring, しゅんすいや
63  The Rivers in Spring, あしよわの
64  The Rivers in Spring, はるのみず
65  The Rivers in Spring, はるのみずに
66  Spring Rain, へびをおう
67  Spring Rain, Kyoto ghost house, はるさめや
68  Spring Rain, ものだねの
69  Spring Rain, はるさめや
70  Spring Rain, はるさめや
71  Spring Rain, たきぐしに
72  Spring Rain, ぬなはおう
73  Spring Rain, Composed in a Dream, はるさめや
74  Spring Rain, はるさめや
75  Spring Rain, はるさめや
76  Spring Rain, ふしずけの
77  Spring Rain, はるさめや
78  Spring Rain, はるさめや
79  Camelias, At a Hermit’s Place, ふるにわに
80  Camelias, あじきなや
81  Camelias, たますりの
82  Five Grains Day, はつゆまや
83  Five Grains Day, はつゆまや
84  Five Grains Day, はつゆまや
85  Five Grains Day, つぼみとわ
86  Five Grains Day, みょうぶより
87  Mud Snails, そこそこに
88  Mud Snails, なつかしき
89  Mud Snails, しずかさに
90  After The Geese Have Gone, かりたちて
91  After The Geese Have Gone, かりゆきて
92  After The Geese Have Gone, かえるかり
93  After The Geese Have Gone, きのういに
94  After The Geese Have Gone, かげろうや
95  After The Geese Have Gone, かげろうや
96  After The Geese Have Gone, A Meeting at Basho’s Hut, はたけうつや
97  After The Geese Have Gone, はたうちよ
98  After The Geese Have Gone, はたうちや
99  After The Geese Have Gone, At Ohara, はるさめの
100  Pheasants, ひくるるに
101  Pheasants, しばかりに
102  Pheasants, かめやまえ
103  Pheasants, はげやまや
104  Pheasants, むくとおきて
105  Pheasants, ぼけのかげに
106  Pheasants, いもがかきね
107  Pheasants, こうばいや
108  Pheasants, こうばいの
109  Pheasants, かきごしに
110  Pheasants, うらもんの
111  Pheasants, はたうちや
112  Pheasants, きじなくや
113  Pheasants, きじなくや
114  Pheasants, Mountain in the West ..., やまどりの
115  Pheasants, おそきひや
116  Spring Day, Reminiscence, おそきひの
117  Spring Day, はるのうみ
118  Spring Day, はたうつや
119  Spring Day, たがえしの
120  Spring Day, tびかわす
121  Swallows, おおつえに
122  Swallows, やまとじの
123  Swallows, つばくらや
124  Swallows, つばめないて
125  Spring Breeze, A Meeting at Mui–an, あけぼのの
126  Spring Breeze, のばかまの
127  Spring Breeze, かたまちに
128  Spring Breeze, のうれんに
129  Spring Breeze, かわちじや
130  Frogs, Kito Proposed ..., つきにきいて
131  Frogs, かくにざして
132  Frogs, なわしろの
133  Frogs, ひわひぐれよ
134  Frogs, れんがして
135  Frogs, よこかまくび
136  New Life, うつつなき
137  New Life, あかつきの
138  New Life, よもすがら
139  New Life, ふるかわの
140  New Life, しののめに
141  New Life, やまぶきや
142  New Life, すわりたる
143  New Life, こつひろう
144  Azeleas, わらびのや
145  Azeleas, のとともに
146  Azeleas, つつじのや
147  Azeleas, つつじさいて
148  Azeleas, ちかみちえ
149  Azeleas, つつじさいて
150  Azeleas, いわにこし
151  Doll Festival, Doll Festival, ふるびなや
152  Doll Festival, はこをでる
153  Doll Festival, たらちねの
154  Doll Festival, でかわりや
155  Doll Festival, ひなみせの
156  Doll Festival, ひなまつる
157  Peach Blossoms, くうてねて
158  Peach Blossoms, あきんどを
159  Peach Blossoms, さくらよrをい
160  Peach Blossoms, かしゅうしゅに
161  A Kite, いかのぼり
162  A Kite, やぶいりの
163  Cherry Blossoms, このしたが
164  Cherry Blossoms, たまくらの
165  Cherry Blossoms, ごうりきは
166  Cherry Blossoms, よるとうりんを
167  Cherry Blossoms, くれんとす
168  Cherry Blossoms, ぜにこうて
169  Cherry Blossoms, ゆきくれて
170  Cherry Blossoms, うたくずの
171  Cherry Blossoms, まだきとも
172  Cherry Blossoms, さがひとひ
173  Cherry Blossoms, みよしのよ
174  Cherry Blossoms, たびびとの
175  Cherry Blossoms, うみてより
176  Cherry Blossoms, はなにとく
177  Cherry Blossoms, はなにくれて
178  Cherry Blossoms, はなちるや
179  Cherry Blossoms, はなのおの
180  Cherry Blossoms, あこくその
181  Cherry Blossoms, かくれすみて
182  Cherry Blossoms, たまがわに
183  Cherry Blossoms, ならみちや
184  Cherry Blossoms, さがえかえる
185  Cherry Blossoms, はなのかや
186  Cherry Blossoms, いかだしの
187  Cherry Blossoms, けいせいは
188  Cherry Blossoms, はなにまわで
189  Cherry Blossoms, はなにきて
190  Cherry Blossoms, はなをふみし
191  Cherry Blossoms, すえぶろに
192  Cherry Blossoms, うぐいすの
193  Cherry Blossoms, ねぶたさの
194  Cherry Blossoms, さくらがり
195  Cherry Blossoms, はなのまく
196  Cherry Blossoms, こかじゃいでて
197  Spring Twilight, においある
198  Spring Twilight, たがための
199  Spring Twilight, へいちょうの
200  Spring Twilight, うたたねの
201  Spring Twilight, はるのゆう
202  Spring Twilight, はなちりて
203  Spring Twilight, なわしろや
204  Pear Blossoms, かいがねに
205  Pear Blossoms, なしのはな
206  Wisteria, ひとなきひ
207  Wisteria, やまもとに
208  Wisteria, うつむけに
209  Mustard Flowers, A Spring Scene, なのはなや
210  Mustard Flowers, なのはなや
211  Mustard Flowers, なのはなや
212  The End of Spring, A Haiku Gathering, ろふさいで
213  The End of Spring, ろふさぎや
214  The End of Spring, Late Spring, ゆくはるや
215  The End of Spring, ゆくはるや
216  The End of Spring, せんそくの
217  The End of Spring, きょうのみの
218  The End of Spring, Upon Visiting Shoha’s Villa, ゆくはるや
219  The End of Spring, はるおしむ
220  The End of Spring, ゆくはるや
221  The End of Spring, まだやごう
222  The End of Spring, ゆくはるや
223  The End of Spring, When Someone Asked Me to Write a Haiku, へんかなき
224  The End of Spring, はるおしむ




Buson spring haiku for Merwin but in kanji and kana

Here are the spring kigo haiku of Yosa Buson such as index against the 224 found in the Merwin translations :

1   ほうらいの山まつりせむ老の春
2   日の光今朝や鰯のかしらより
3   三椀の雜煮かゆるや長者ぶり
4   うぐひすのあちこちとするや小家がち
5   鶯の聲遠き日も暮にけり
6   うぐひすの鹿相がましき初音哉
7   鶯を雀歟と見しそれも春
8   うぐひすや賢過たる軒の梅
9   鶯の日枝をうしろに高音哉
10   うぐひすや家内揃ふて飯時分
11   鶯や茨くゞりて高う飛ぶ
12   うぐひすの啼やちいさき口明て
13   青柳や我大君の艸か木か
14   若草に根をわすれたる柳かな
15   梅ちりてさびしく成しやなぎ哉
16   捨やらで柳さしけり雨のひま
17   青柳や芹生の里のせりの中
18   出る杭をうたうとしたりや柳かな
19   二もとの梅に遲速を愛す哉
20   うめ折て皺手にかこつ薫かな
21   白梅や墨芳しき鴻ウ舘
22   しら梅や誰むかしより垣の外
23   舞ゝの場もふけたり梅がもと
24   出べくとして出ずなりぬうめの宿
25   宿の梅折取ほどになりにけり
26   隅ゝに殘る寒さやうめの花
27   しら梅や北野ゝ茶屋にすまひ取
28   うめ散や螺鈿こぼるゝ卓の上
29   梅咲て帶買ふ室の遊女かな
30   源八をわたりて梅のあるじ哉
31   燈を置カで人あるさまや梅が宿
32   梅咲ぬどれがむめやらうめじややら
33   しら梅の枯木にもどる月夜哉
34   小豆賣小家の梅のつぼみがち
35   梅遠近南すべく北すべく
36   なには女や京を寒がる御忌詣
37   御忌の鐘ひゞくや谷の氷まで
38   やぶ入の夢や小豆の煮るうち
39   藪いりやよそ目ながらの愛宕山
40   やぶいりや守袋をわすれ草
41   秩父入や鉄漿もらひ來る傘の下
42   やぶ入は中山寺の男かな
43   七くさや袴の紐の片むすび
44   これきりに徑盡たり芹の中
45   古寺やほうろく捨るせりの中
46   筋違にふとん敷たり宵の春
47   肘白き僧のかり寢や宵の春
48   春の夜に尊き御所を守身かな
49   春月や印金堂の木間より
50   瀟湘の鴈のなみだやおぼろ月
51   折釘に烏帽子かけたり春の宿
52   公達に狐化たり宵の春
53   春の夜や宵あけぼのゝ其中に
54   女倶して内裏拜まんおぼろ月
55   藥盗む女やは有おぼろ月
56   よき人を宿す小家や朧月
57   さしぬきを足でぬぐ夜や朧月
58   草霞み水に聲なき日ぐれ哉
59   指南車を胡地に引去ル霞哉
60   高麗舟のよらで過ゆく霞かな
61   橋なくて日暮んとする春の水
62   春水や四條五條の橋の下
63   足よはのわたりて濁るはるの水
64   春の水背戸に田作らんとぞ思ふ
65   春の水うたゝ鵜繩の稽古哉
66   蛇を追ふ鱒のおもひや春の水
67   春雨や人住ミて煙壁を洩る
68   物種の袋ぬらしつ春のあめ
69   春雨や見にふる頭巾着たりけり
70   春雨や小磯の小貝ぬるゝほど
71   瀧口に燈を呼聲や春の雨
72   ぬなは生ふ池の水かさや春の雨
73   春雨やもの書ぬ身のあはれなる
74   はるさめや暮なんとしてけふも有
75   春雨やものがたりゆく簑と傘
76   柴漬の沈みもやらで春の雨
77   春雨やいざよふ月の海半
78   はるさめや綱が袂に小でうちん
79   古庭に茶筌花さく椿かな
80   あぢきなや椿落うづむにはたずみ
81   玉人の座右にひらくつばき哉
82   初午やその家の袖だゝみ
83   はつむまや鳥羽四塚の鶏の聲
84   初午や物種うりに日のあたる
85   莟とはなれもしらずよ蕗のとう
86   命婦よりぼた餅たばす彼岸哉
87   そこゝに京見過しぬ田にし賣
88   なつかしき津守の里や田螺あへ
89   靜さに堪へて水澄たにしかな
90   鴈立て驚破田にしの戸を閉る
91   鴈行て門田も遠くおもはるゝ
92   歸る鴈田ごとの月の曇る夜に
93   きのふ去ニけふいに鴈のなき夜哉
94   陽炎や名もしらぬ虫の白き飛
95   かげろふや簀に土をめづる人
96   畑うつやうごかぬ雲もなくなりぬ
97   はた打よこちの在所の鐘が鳴
98   畑打や木間の寺の鐘供養
99   春雨の中におぼろの清水哉
100   日くるゝに雉子うつ春の山邊かな
101   柴刈に砦を出るや雉の聲
102   龜山へ通ふ大工やきじの聲
103   兀山や何にかくれてきじのこゑ
104   むくと起て雉追ふ犬や寶でら
105   木瓜の陰に貌類ひ住ムきゞす哉
106   妹が垣根さみせん草の花咲ぬ
107   紅梅や此丘より劣る此丘尼寺
108   紅梅の落花燃らむ馬の糞
109   垣越にものうちかたる接木哉
110   裏門の寺に逢着す蓬かな
111   畑うちや法三章の札のもと
112   きじ啼や草の武藏の八平氏
113   きじ鳴や坂を下リの驛舎
114   山鳥の尾をふむ春の入日哉
115   遲キ日や雉子の下りゐる橋の上
116   遲き日のつもりて遠きむかしかな
117   春の海終日のたりゝ哉
118   畠うつや鳥さへ啼ぬ山かげに
119   耕や五石の粟のあるじ貌
120   飛かはすやたけごゞろや親雀
121   大津繪に糞落しゆく燕かな
122   大和路の宮もわら屋もつばめ哉
123   つばくらや水田の風に吹れ貌
124   燕啼て夜蛇をうつ小家哉
125   曙のむらさきの幕や春の風
126   野ばかまの法師が旅や春のかぜ
127   片町にさらさ染るや春の風
128   のうれんに東風吹いせの出店哉
129   河内路や東風吹送る巫女が袖
130   月に聞て蛙ながむる田面かな
131   閣に座して遠き蛙をきく夜哉
132   苗代の色紙に遊ぶかはづかな
133   日は日くれよ夜は夜明ケよと啼蛙
134   連哥してもどる夜鳥羽の蛙哉
135   獨鈷鎌首水かけ論のかはづかな
136   うつゝなきつまみごゝろの胡蝶哉
137   曉の雨やすぐろの薄はら
138   よもすがら音なき雨や種俵
139   古河の流を引つ種おろし
140   しのゝめに小雨降出す燒野哉
141   山吹や井手を流るゝ鉋屑
142   居りたる舟を上ればすみれ哉
143   骨拾ふ人にしたしき菫かな
144   わらび野やいざ物焚ん枯つゝじ
145   野とゝもに燒る地藏のしきみ哉
146   つゝじ野やあらぬ所に麥畠
147   つゝじ咲て石移したる嬉しさよ
148   近道へ出てうれし野ゝ躑躅哉
149   つゝじ咲て片山里の飯白し
150   岩に腰吾頼光のつゝじ哉
151   古雛やむかしの人の袖几帳  
152   箱を出る貌わすれめや雛二對  
153   たらちねのつまゝずありや雛の鼻  
154   出代や春さめと古葛籠 
155   雛見世の灯を引ころや春の雨  
156   雛祭る都はづれや桃の月  
157   喰ふて寢て牛にならばや桃花  
158   商人を吼る犬ありもゝの花
159   さくらより桃にしたしき小家哉
160   家中衆にさむしろ振ふもゝの宿
161   几巾きのふの空のありどころ
162   やぶいりのまたいで過ぬ几巾絲
163   木の下が蹄のかぜや散さくら
164   手まくらの夢はかざしの櫻哉
165   剛力は徒に見過ぬ山ざくら
166   夜桃林を出てあかつき嵯峨の櫻人
167   暮んとす春をゝしほの山ざくら
168   錢買て入るやよしのゝ山ざくら
169   ゆき暮て雨もる宿やいとざくら
170   哥屑の松に吹れて山ざくら
171   まだきとも散りしとも見ゆれ山櫻
172   嵯峨ひと日閑院樣のさくら哉
173   みよし野ゝちか道寒し山櫻
174   旅人の鼻まだ寒し初ざくら
175   海手より日は照つけて山ざくら
176   花に遠く櫻に近しよしの川
177   花に暮て我家遠き野道かな
178   花ちるやおもたき笈のうしろより
179   花の御能過て夜を泣ク浪花人
180   阿古久曾のさしぬきふるふ落花哉
181   かくれて住て花に眞田が謠かな
182   玉川に高野ゝ花や流れ去
183   なら道や當皈ばたけの花一本
184   嵯峨へ歸る人はいづこの花に暮し
185   花の香や嵯峨のともし火消る時
186   筏士の蓑やあらしの花衣
187   傾城は後の世かけて花見かな
188   花に舞ハで歸さにくし白拍子
189   花に來て花にいねぶるいとま哉
190   花を蹈し草履も見えて朝寐哉
191   居風呂に後夜きく花のもどりかな
192   鶯のたまゝ啼や花の山
193   ねぶたさの春は御室の花よりぞ
194   さくら狩美人の腹や減却す
195   花の幕兼好を覗く女あり
196   小冠者出て花見る人を咎けり
197   にほひある衣も疊まず春の暮
198   誰ためのひくき枕ぞはるのくれ
199   閉帳の錦たれたり春の夕
200   うたゝ寢のさむれば春の日くれたり
201   春の夕たえなむとする香をつぐ
202   花ちりて木間の寺と成にけり
203   苗代や鞍馬の櫻ちりにけり
204   甲斐がねに雲こそかゝれ梨の花
205   梨の花月に書ミよむ女あり
206   人なき日藤に培ふ法師かな
207   山もとに米蹈ム音や藤のはな
208   うつむけに春うちあけて藤の花
209   菜の花や月は東に日は西に
210   なのはなや笋見ゆる小風呂敷
211   菜の花や鯨もよらず海暮ぬ
212   爐塞て南阮の風呂に入身哉
213   爐ふさぎや床は維摩に掛替る
214   ゆく春や逡巡として遲ざくら
215   行春や撰者をうらむ哥の主
216   洗足の盥も漏りてゆく春や
217   けふのみの春をあるひて仕舞けり
218   行春や白き花見ゆ垣のひま
219   春をしむ座主の聯句に召れけり
220   行春やむらさきさむる筑羽山
221   まだ長ふなる日に春の限りかな
222   ゆく春や横河へのぼるいもの神
223   返哥なき青女房よくれの春
224   春惜しむ宿やあふみの置火燵

See my next post for the Merwin first lines in hiragana.

The haiku above roughly correspond to the first found in the Japanese text of haikushuu for Buson.